ソープ嬢のDNAが存在すると思う?そんな物はある?ソープ嬢の娘とか子孫はソープ嬢になるのか?
こんな事を考えたことは無いかもしれない。自分で考えてておかしいと思う。でも、考えてみて欲しい。ソープ嬢って職業とか、その性質は遺伝的なものなのか。
私が考えさせられた事件について今日はお話したい。
普通の女の子なのに…
私の先輩Aさんには今年19歳になる娘さんが居る。現役当時はまだ幼稚園児で、一緒に某ネズミの王国に旅行に行ったり、毎年プールに出かけたりした可愛らしい女の子だった。
今でも一緒に映画を見に行ったり、買い物に出かけたりする。大人しい感じだけど今時の女の子だ。高校生当時は将来の進路のこととか彼氏のこととか、ママより話しやすいちゃらんぽらんな私に、友達みたいに色々話してくれる素直な女の子だった。
そんないい子でも10代は10代。高校一年生の時に、門限を何回か破ってスマホを取り上げられた。ここまではよくある話。
でも先輩は母親の勘が働いたのか、LINEの中身を見た。すると彼氏とのやり取りは可愛らしい高校生のやり取りとは言えなかった。
学生のうちはまだ子供でいてほしいと思うのが親心だろうけど、実際はそうはいかない。先輩も自分の初体験の歳を考えるとそこは放免した。
でも彼氏に「またローションで気持ちよくしてあげるね!」とか送ってるのを見たら血の気が引いたらしい。どこまでが早熟か行き過ぎなのかを説明するのは難しいけど、「商売女か!」って元プロが思うくらいだから相当すごかったんじゃないかと思う。
まさかの告白
流石に注意というか、何かしないといけないとは思ったけど、先輩が自分で話すと余計にこじれる可能性はある。LINEを勝手に見られただけでも反発するだろうし、性の話で「あんたやりすぎよ!」なーんて母親に説教されるのは嫌なもんだ。
そこで割と仲良く話をしてる大人の私が呼ばれた。私を筋金入のバカって言うのに呼んだのは、よっぽど切羽詰まってたんだろう。
お菓子を買って、最初は「今度一緒に映画に行こうよー」なんて当たり障りのない話をしながら、「彼氏と最近どう?スマホ無いと連絡取れなくて寂しくない?」とかそっちにスライドしていく。
今までは「どこまで行ってるの?」とか突っ込んだことは聞いたことが無かったし、幼稚園児だった彼女が成長してるのはわかってるけど、私にしてみればまだ子供。正直SEXしてるなんて考えもしなかった。
聞きたくない。知りたくない。子供がSEXしてるとか汚らわしい。自分が初めてヤッた歳を棚に上げてそう思った。でも聞かないといけない…「彼氏とHしてるの?彼氏にしたいとか言われて困ったりしてない?」
「…してる…でも困ったことにはならないように気をつけてるから…」彼女の口から直接聞く衝撃。知ってたけど現実にしたくなかった。吐き気とめまいがする。
でもここで逃げ出せない。なんとか本題に近づけるように、慎重に言葉を選んだ。「そっかぁ。でもさ、男の子ってAVとかでヤり方の情報仕入れるじゃん?嫌なこととかしなくていいし、無理はしない方が良いよ?」
「違くて…そういうこと皆してるじゃん…」彼女は何でもなさそうにそう言った。私に詳細を聞かれたのが気まずかったのか、絞り出すように呟いた。
私の頭の中は???。確かにAVのプレイって当たり前な事もあるけど、ローションプレイは一般的とは言えない。LINEに出てきたボディー洗いも、お風呂上がりの仁王立ちフェラも一般的とは思えない。
聞いたLINEの内容と会話が一致しないのは、私が衝撃を感じすぎてて頭が回ってないせいなのか、本当に内容が噛み合ってないのか判断もできない。もう言葉が出せなくて黙っていると、彼女が口を開いた。
「ママもまいちゃんもやってるじゃん!皆そうなんでしょ?」なんだか拍子抜けしてしまった。間違った知識を仕入れて、彼女が誤解してると思った。私は「しないしない(笑)そんな事旦那にしないよ(笑)」と笑ってしまった。
ところが「違う!お仕事でしてたでしょう!!!!!!」って彼女が言った時は本気で凍ったし、聞き間違えたと思いたかった。
もう絶句。本当に口開いてたはず。まさか彼女が仕事に気がついてるとは思わなかったし、絶対にバレてないと思ってた。現に現役の時も、引退してからもそんな素振りが見えなかった。
もう腹をくくるしか無い。相手は子供だけど、完全な子供じゃない。もう大人になり始めている。配慮は要るけど、大人として話す覚悟をした。
「あー、私の場合の話をするね。私は確かに体を売る仕事をしてたよ。でも、自分のパートナーとするのと仕事は別。仕事ですることは大切な人にはしないよ。失礼に当たるからね。何で私の仕事と彼氏との事が関係あるの?」
「ママのお仕事の意味が中学の時にわかった。Hな動画とかでママのお仕事のがあって、どんな事をしてるのか見たの。それでママがしてることだから悪いことだって思いたくなかったし、動画では男の人が喜んでたから彼氏にしてあげたんだ…」
もうね、聞いてる私は色んな思いがぐっちゃぐちゃ。色んな意味でやっぱりまだ子供だ。大好きなママがいけない事をしてるとは思いたくないだろう。でも彼女の気持ちも体も大人に近づいていく。まだ精神は大人になりきっていないのに。
その後
私はそれ以上何も諭したりすることができなくて、彼女が知ってても誰にも言えなかったこととか、苦しかったことをひたすら聞いてその日は帰った。多感な時期に大きな秘密があることが、どれだけ苦しかったのかを考えると息をするのもきつかった。
ただ、「隠しておくのが辛いなら、正直にママに話したらどうかな。ママも話してくれたら嬉しいんじゃないかな?」と言うのが精一杯だった。
後日、彼女は先輩に自分の知ってることも、思ってることも、やってることもちゃんと話してくれたと連絡が入る。その時の先輩の取り乱し方はとんでもないものだったし、しばらくは家の中はギスギスしてたみたいだ。
でも母ひとり子ひとり。元々仲が良かったのもあって、自然と元の関係に戻れた。むしろお互いの隠し事とか隔たりが無くなって、前よりも仲が良くなってる気がする。相談とかも私を経由しないで二人で話せるようになって羨ましい限りだ。
この話は未だに笑い話にはなってない。ほとんどの事が過ぎてしまえば笑い話になるのに、このことに関しては話が出た途端一気にお葬式みたいな空気になる。
幼少の頃、彼女の周りに居た大人は殆どがソープ嬢だった。皆ひた隠しにしてたけど、勘付かれた原因は自分たち皆にあると思ってる。子供に勘付かせた責任は重くて、背負いきれない。
先輩が娘からの告白を受けて、私に「ソープ嬢の遺伝子ってあると思う?私のが遺伝して、娘が働きだしたら私死ぬわ…」って電話をしてきた。「そんなんありませんよ、大丈夫ですよ」って話しながら先輩の家に車を飛ばしたのは、寒い冬の朝だった。
今でも冬の朝に車に乗ると、あの時に戻った気持ちになる。ソープ嬢の遺伝子は無いって答えたけど、本当はあるんじゃないかと不安になる。