第1話｜ゆき／ぷるるん小町 京橋店

シリキ・ウトゥンドゥ



その偶像の意味は災いを信じよ。

その偶像にかかわった者は

誰も呪いから逃げられない。

父が突然姿を消してから2ヶ月が経った。


私は誰に読んでもらう宛も無く

ブログを始めた。



父の失踪の謎を少しでも解き明かしたい。

と同時に

この作業は父がまだどこかで

生きているに違いないという願い。




２００６年７月３日

今日会社に出かけようとしたら

小包が届いた。



送り主は父だった。




包みから出て来たのは使い込まれた手帳と

一本の古い釘。



釘？



手帳の最初のページ・・・


ブルーな文字でこんな風に書かれていた。




ホテル・ハイタワー

エンディコット

シリキ・ウトゥンドゥ





そして釘

長さ２０センチ近くの太い釘。




錆だらけというより

途轍もなく長い時間と空間を感じさせる釘。




骨董品を扱う商社に6年も勤めているから

それぐらいは分かる。



これは、恐らく、日本の物ではない。





父は私に何を伝えたかったんだろうか。




そこまで書いた時・・・・・・・






テーブルの上から釘が落ちた。


まるでその存在を主張するかのように。





明日、会社に行ったら部長に見せてみよう。



鑑定士の資格を持つ彼なら

何かヒントをくれるかも知れない。

釘を拾い上げた時体に震えが走った。



それは電気にも似た一瞬の痺れ。







私は父からの小包が

恐ろしいパーティーの招待状に思えた