第11話｜ゆき／ぷるるん小町 京橋店

シリキ・ウトゥンドゥ。





その偶像の意味は災いを信じよ。




その偶像にかかわった者は




誰も呪いから逃げられない。

消息を絶った父から届いた小包


その中には古い手帳と1本の釘が入ってた。






その釘のなぞを知っている


という男が現れた。





骨董品店の店主ムナカタは私を呼び出し


釘を手にしたまま


夜の街を歩いた。







「あのぅ」




と私はムナカタの背中に声をかけた。






「返して下さい、釘。


大事な父の物なんです。」







彼は振り返らずどんどん歩いた。





「あのぅ」




と大きな声で言った。






すると突然彼は振り向いて





「うるさいな。


さっさとついて来ればいいんだよ」




と怒鳴った。







会った時からこの男は危ないと思った


私の直感は正しかった。






でも、少し遅かった。





彼は再び歩き始めた。




もっと大きな声で呼びかける





「アノゥ！」





彼は踵を返し私に近寄ってきた。






徐にポケットから



釘を包んだハンカチを取り出し



アスファルトに投げつけた。








「でっかい声出すんじゃないよ


こんなガラクタの事で」







と言った。








私はハンカチを拾い



走って逃げた。






怖かった。



後ろを振り向けなかった。












どれぐらい走っただろう。






目の前にタバコの広告看板があった。











それは父が好んで吸った銘柄だった。

私は急に力が抜けその場にしゃがみ込んだ。